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回顧展終了のご報告

回顧展の展示風景と、ギャラリートークを動画でお楽しみください!

回顧展終了のご報告

この度、天神山文化プラザの展示室提案事業として5月30日から開催された『美しい驚き・泉谷淑夫 羊のいる世界 羊のいない世界』が、6月4日を持ちまして無事終了したことをご報告します。展覧会終了後は大阪芸大の休日出講や教育実習校訪問、放送大学の面接授業などが立て込んでいて、ご報告が遅れてしまったことをお詫びします。

今回は会期開始とともに梅雨入りしてしまったため、まさに「水を差された」心境でしたが、会期中雨が降ったのは半分ほどで、最後の土日は快晴となり、天気は心配したほどではありませんでした。岡山では1998年の倉敷市立美術館での岡山初個展、2017年の奈義町現代美術館での企画展以来の大個展で、気合がかなり入っていましたから、「天は見放さなかった」という思いです。お陰様で、6日間で700名を超えるご来場者をお迎えすることができ、土日は来場者がそれぞれ188名を数えるなど、大盛況の裡に幕を閉じることができました。ご来場者の中には、ご高齢になられた芸術院会員の蛭田先生ご夫妻や、天井画のパネル製作をしてくれた大阪芸大の森井先生、神奈川県から遠路はるばる訪れた高校時代からの親友や中学校時代の教え子、絵のファンの方などもおられ、驚くとともに、感謝の気持ちで一杯になりました。ご来場された皆様にこの場を借りて、深くお礼申し上げます。

本展はタイトルにもあるように「羊のいる世界」と「羊のいない世界」の対照展示をメインとし、笠岡市にある圓明山法華寺の天井画対作の先行公開も目玉でした。この中で「羊のいない世界」は2年前の『陽のあたる岡・第10回記念展』の特別集中展示がコロナ過で2日間のみの展示になったことのやり直しでしたが、今回「羊のいる世界」との対照で展示できたことは、『泉谷淑夫の絵画世界』の変遷を見ていただく上でかえって良かったと思いました。第3と第4の対照展示を見られた方々から、「テーマや表現が一貫している」「軸がぶれていない」「どの作品も充実している」などの評価をいただけたことは、70代でも代表作を描こうと思っている私にとって、これ以上ない励ましとなりました。

「羊のいない世界」の中心は20代の初期作品群でしたが、それらの保存状態が良いことに、来場された作家の方々は驚かれていました。実は買い上げになった《幽愁》と《愁傷のモニュメント》は作品が手元にないため近年の再制作ですが、それらと比べても卒業制作の《変容》や社会人1年目に描いた《化石の眼》が画肌や色艶の面で遜色がなかったことは嬉しい限りです。やはり油絵は信頼のおける描画技法だと再認識した次第です。また「羊のいない世界」に、今回30代の作品として岡山ではあまり知られていない「電球頭の男」のシリーズを3点だけですが加えたことも好評でした。この後に「羊」が登場するわけですから、この3点は「羊のいる世界」への橋渡しの役割を果たしたわけです。

「羊のいる世界」は近年の大作が中心ですから、その迫力とボリュームに魅了された方が多かったようです。まずは会場外の300号の大作《帰還》がお迎えし、入場するとP150号の2段掛けを含む「自由の女神」シリーズの4点、そしてP200号の「ENERGY三部作」を経て、正面奥に天井画対作が堂々の鎮座、折り返しの壁面後半には「宇宙飛行士」のシリーズ6点が並び、圧巻はP300号の《白昼夢》を最新作の《DESTINY》と《SPECTACLE》が挟む構成など、来場者の方からは「見応えがある」「圧倒された」などの評価をいただきました。ギャラリートークでもお話ししましたが、これでも「羊のいる世界」を確立させた40代、50代の作品群は展示されていませんから、いつかそれらを含めた本当の回顧展がどこかで開催できたらいいなと思っています。

今回はコロナ過で自粛していたギャラリートークも6月3日(土)と4日(日)に行いました。会場の広さの関係もあり、参加者の分散をねらって2日間に分けましたが、両日とも約70名の参加者があり、かなりの盛況でした。司会を天神山文化プラザの加藤さんにお願いし、時間にして40分ほどでしたが、参加者の方々が私と井口副住職の天井画の説明を熱心に聞いて下さり、ありがたく思いました。リーフレットには書いてない内容を中心に、天井画を私の画業の中に位置づけられるような話をしたつもりですが、上手く伝わったでしょうか。2日目には天井画のエスキースも初公開しましたので、終了後にイーゼルに乗せたエスキースの写真を撮られる方もいて、関心の高さが窺えました。

連絡通路に飾った「近年の自画像」連作や、2階の休憩所に展示した「裸婦デッサン」も思いのほか好評で、「羊の世界」しか知らなかった方々には、ずいぶん新鮮に映ったようでした。やはりおもてなしには「箸休め」も必要だなと再認識しました。来場者に配布した天井画と20代初期作品群のリーフレット2種も好評で、「気前がいいね」という喜びの声も聞かれました。そして天井画に関しては、来年設置されたら改めて見に行きたいという声も多く、今回はプロローグに過ぎないということも予感しました。とにかく来場者数はもちろんのこと、作品への反応や評価もよく、6日間という短い開催期間でしたが、「やってよかった」と思えた回顧展でした。皆さん、本当にありがとうございました。

Photo Gallery

1 蛭田先生ご夫妻と
2 天井画パネル製作者の森井先生と
3 副住職井口氏、大阪芸大天野先生とお友達
4 会場入り口《白昼夢》がお迎え
5 大学4年時の作品
6 電球頭の男のシリーズ
7 第3展示室の展示
8「自由の女神」シリーズ
9「ENERGY三部作」と天井画対作
10 宇宙飛行士のシリーズ
11《対話》との対話
12 ギャラリートーク 1日目
13 ギャラリートーク 2日目
14 手が発光しているよう
15 井口副住職の話
16 龍神図のエスキース
17 鳳凰図のエスキース

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