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失楽園

3.失楽園

F100号(130.3×162.1cm)1979年

この絵の空に描いた大型旅客機DC10が、絵の完成十日後に墜落するというショッキングな事故があり何となく予言めいた内容になったことを記憶している。当時街中に増えつつあった自動販売機に興味を持ち、それらが増殖し際限なく空き缶を排出するという物質文明の恐怖を世紀末的光景として描いた作である。自販機に映る人影と排出口の位置からして、空き缶は男性器の暗喩でもある。この絵ではとにかく画面の下半分を空き缶で埋め尽くすのに時間がかかった。途中経過を時々見ていた母が「お前はまだ空き缶を描いているのかね」と呆れたように感想を漏らしたのが、今更ながら印象に残っている。自販機の風景が当たり前となった19年後、ダブルイメージ(巨人が倒れている!)の表現が評価され第一回トリックアート大賞展で大賞を受賞した。ちなみにこの頃『失楽園』という映画やテレビドラマが話題となっていたのはまったくの偶然である。

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