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Paradis Paradox

6.Paradise Paradox

S100号(162.1×162.1cm)1993年

数年前から一陽会会友時代のスランプを脱出する気配を感じていたが、この作でようやく羊をモチーフとした新しい世界が自分のものとなりつつある手ごたえを感じた。結果は一陽会の会員推挙とともに初めて安井賞展に推薦され、そちらでも入選を果たしたので、とりわけ思い出深いものがある。この年の夏に旅行し、取材した北ドイツの風景の印象が画面全体に息づいている。羊たちの楽園に潜む唐突な不安要素を、画面中央の深淵と巨大な煙突で表してみた。羊の体毛を執拗(しつよう)に描き始めたのも、この作あたりからだったように思う。安井賞展の会場で、ある親しい先輩がこの作を評して「すごくエロチックだね」というまったく意外な言葉を発したことがある。この時、作家自身も予期しないイメージが伝わることもあるのだと感心し「そういえばエロチックにも見えるかな」と妙に納得したが皆さんはどう思われるだろうか?題名もお気に入りの一枚である。

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