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聖地

10.聖地

P150号(162.1×227.3cm)2002年

私は大作を描く場合、大概はかなり精度の高い下絵を作ってから、本制作にとりかかる。つまりその段階で、すでに構図はほとんど完成しているということである。しかしこの絵は頭の中でイメージが固まった後ぶっつけ本番で150号という大画面に挑んだものである。というのも構図がシンプルなため、中央に配した巨樹さえ上手く納まれば後は何とかなるという皮算用ができたからである。時にはこんな制作も楽しい。中央の巨樹はイギリスの写真集から見つけたものだが、上部をカットして下半分を借用した。そうすることでより巨大な存在感が増したように思う。無数に枝垂れる枝がドーム状の屋根を作り、木漏れ日が注ぐその場所を、羊たちの“聖地”に見たてたのである。その巨樹に負けないように、一匹一匹の羊のポーズと色、そして配置を熟考した。羊たちが皆こちらを見つめているのは絵の前のあなたが聖地への闖入者(ちんにゅうしゃ)に他ならないからである。

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