
第80回『 マイ・コレクション/ 変わったデザインのネクタイピン ~その4 生き物類他~』
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今年も信じられないような速さで年末になってしまいました。
11月は秋らしい気候でしたが、猛暑が長引いたため、急に寒くなった印象です。
10月半ばまでTシャツで過ごしていたのに、11月中旬にはジャケットの中にセーターを着込んでいました。Yシャツにネクタイをしてジャケットを羽織るという一番快適な時期が2週間くらいしかありませんでした。当然ネクタイピンを人に見てもらう機会も数えるほどで、せっかくブログで紹介しているのに残念なことです。
そんな中、11月中が期限の年賀状デザインを何とかやり遂げました。
来年の干支は馬です。実はアイディアそのものは今年の上半期に決まっていたので、あせることはありませんでした。しかし実際に絵にしようとすると、かなりひねりや工夫が必要でした。
デザインの公開は1月のHPで行う予定ですが、今回は久しぶりに名画シリーズの一枚となりました。誰の絵を使ったのかはお楽しみにしてください。
さてマイ・コレクションの『変わったデザインのネクタイピン』の4回目は生き物類をモチーフにしたタイピンを中心に紹介します。
生き物類とは地球上で共生している様々な鳥や動物や魚たちを指します。
彼らはそれぞれ空、陸、海を生活圏として暮らしていますが、人間以上に地球環境に適応しながらも人間の文明活動によって生存権を脅かされ、多くの生き物が絶滅の危機に追い込まれています。
そんな中、今年は山中や里山で暮らしているクマ、イノシシ、シカ、サルなどの野生動物たちが次々と人里や街中に出没し、人間に危害を及ぼす事例が多発しました。そのニュースに接するたびに、私は以前に紹介した一冊の絵本を思い出します。
いわむらかずお作の『ひとりぼっちのさいしゅうれっしゃ』です。
旅行する一人の学生が乗った山中を走る列車に次々と野生動物たちが乗りこんできて、生存権を脅かす人間に立ち向かう相談を車内でする中、一匹のサルが近くの座席に身を潜めていた学生を発見してしまうという危機感迫るお話です。しかし彼らの反抗も結局は人間の力で押しつぶされてしまうのでしょう。そんな現実があるからこそ、それが逆転するSF映画『猿の惑星』がロングヒットしたのかもしれません。
ではネクタイピンの世界では生き物たちはどんな風にデザインされたのでしょう。
最初は百獣の王ライオンです。(写真1)
いかがですか。堂々としているでしょう。前足を上げ、険しい表情で大きく口を開けて吠えています。相手を威嚇している場面でしょうか。頭の大きいところなどライオンの特徴をよく捉えたリアルなデザインです。このタイピンを着けると少し強くなったような気がします(笑)。
次は速く走ることができる動物たちです。
上が馬で、下はチーターでしょう。(写真2)
この二つに共通しているのは、平面的な造形でシルエットの美しさと躍動感を強調しているところです。どちらも走る時の脚の形や頭の角度などが正確で、リアルさも感じられます。それにしても走っている姿というものは人間でも動物でも美しいですね。
次は同じ種類の犬のタイピンですが、対照的なデザインが際立っています。(写真3)
犬の種類は長い胴と短い脚が特徴のダックスフントです。
上はとてもリアルな造りで、頭の角度や足の形、突っ張った尻尾など見どころ満載です。全身に力の入っている感じが良く伝わってきます。下は長い胴を強調し、全体的に単純化したシルエットになっているのでユーモラスな感じがします。全身金色なのでゴージャスな印象です。ニットタイに装着すると光るのでとても目立ちます。
次はとても怖い動物たちです。(写真4)
上はワニです。四肢を踏ん張り、大きな口を開けて、今にも食らいついてきそうな迫力です。背中のごつごつした感じや尻尾の曲がり具合などがよくできていて、生きているようです。
下は何だか分かりますか?実は遠い昔に絶滅したと言われる恐竜の一種です。名前をアンキロサウルスと言う草食恐竜です。体長が5~10mで体重は4.5トンもあります。全身が鎧で被われていて、尻尾の先端には硬い骨の塊が付いています。これらを武器に天敵のティラノサウルスなどに対抗していたようです。恐竜のタイピンと言うのは珍しく、私も持っているのはこのひとつだけです。
次は空を飛ぶ生き物たちです。(写真5)
最初は勇猛な姿が印象的なワシです。
上はまさに空から獲物に掴みかかろうとしている瞬間で、並々ならぬ緊張感が伝わってきます。それにしても猛禽類のかぎ爪は迫力がありますね。下は木の枝にとまり、羽を広げて上空の相手を見据えて威嚇しているところでしょうか。踏ん張った両足に力がみなぎっています。
実はこのふたつ、コレクションの最初期に買ったものですが、インパクトが強すぎて装着するのが気恥ずかしくなったため、その後はあまり着けていません。もったいないですかね?
次の二つは飛翔している姿は似ていますが、表されている場面は対照的です。(写真6)
上はカモメで、上空を目指して優雅に飛んでいる姿です。空を自力で飛ぶ能力は人間にはありませんから、うらやましい限りです。それに対して下はフクロウで、上空から獲物めがけて急降下しているところでしょう。足のかぎ爪を目一杯広げています。フクロウは風貌が一見穏やかに見えますが、猛禽類の仲間ですから獲物を捕らえる時はやはり怖い鳥になります。
次の二つはとてもハッピーな印象のデザインです。(写真7)
上は夫婦鶴でしょうか。夫婦仲良く旅をしている感じです。二羽の羽の形が飛翔の動きを巧みに伝えています。昔なら結婚式に招待された時などに着けて行ったものですが、近年は結婚式そのものが執り行われないので、なかなか出番がありません。
下は3羽のカモメを組み合わせたデザインで、3羽が仲良く飛んでいる場面でしょう。シンプルなデザインですが、とてもバランスよくまとめられているので、作者のセンスの良さが伝わってきます。こちらは巣立ちのイメージがあるので、大学の卒業式によく着けて行きます。
ここからは海の生き物たちです。(写真8)
最初はおめでたい魚の筆頭、鯛です。鯛は祝い事などの時に尾頭付きで出されますし、タイ焼きというお菓子もありますから、魚の中では全身のイメージがかなり定着しているものの代表です。
このタイピンもその全身像に真っ向から立ち向かい、リアルに再現しています。動きはないのですが、目などは生きている感じです。種類は真鯛ではなく、ずんぐりした体形と白黒の縞模様が特徴の石鯛でしょう。サイズ的には小さなタイピンですが、かなり目立つので周囲の反応もあり、私のお気に入りのひとつになっています。
次は海の生き物でも魚ではなく、哺乳類に属するものたちです。(写真9)
上はシロナガスクジラです。地球上で最大級の大きさを誇り、知能も高い生き物です。ちなみに巨大な草食恐竜のブラキオザウルスが体長30mですが、シロナガスクジラは大きいものでは33mにもなります。このタイピンも悠然と海中を進んでいくシロナガスクジラの雄姿を見事に捉えています。
下はイルカの親子です。種類は水族館でよく見かける体長が3mほどのハンドウイルカでしょうか。前出の夫婦鶴と同じで、二匹の対照的な動きでイルカの泳ぎを表しています。イルカも知能が高く、人間以上の知能を持っているという学者もいます。人間はと言えばいつの時代も戦争ばかりしているし、地球環境を破壊し続けているお馬鹿な生き物ですから、地球上で一番賢いとは到底思えません。空を自由に飛べる鳥や海に適応した生き物たちの方がきっとはるかに賢いと思います。
次はユーモラスな発想のものを紹介します。(写真10)
魚は魚でも何と食べた後の状態をデザインしたタイピンです。
上は魚の王様と言われる鮭です。きれいに食べられてがっしりした骨だけの姿になっています。下は単純化されているので魚の種類は特定できませんが、デザインもユーモラスなのでマンガ的な魅力があります。いずれも着けた時は気づいた人の反応は強く、コミュニケーションのきっかけになります。
ではこれらの魚を食べたのは誰かということになりますが、
犯人はもしかしたらこの生き物かもしれません。(写真11)
猫です。
猫好きの私ですが、猫をモチーフにしたタイピンに出会う機会はとても少なく、私が持っている猫のタイピンはこれひとつです。世の中かなりのネコブームですから、もっとあってもよさそうですけどね。
ところでこのタイピンは私のコレクションの条件から一つ外れています。何だか分かりますか?それは横バーがあることです。しかし猫のタイピンが欲しかった私は、この横バーは猫が飛び越えたハードルだということにして自分を納得させ購入したのです(笑)。
次は生き物の分類に入れるのは無理がありますが、
一応人間の体の一部であることと、ユーモアつながりで紹介するものです。(写真12)
ご覧の通り手と足です。どちらもインパクトがありますが、目立つのは上の開いた手で、よりユーモラスなのは下の足裏でしょうか。よく見ると足の裏と足の指は表面の処理が異なっていて、裏は艶消しで指は光っています。いずれにしろ着けた時の効果は抜群で、「こんなタイピンがあるんですね!」と多くの人に驚かれます。やはりデザインに遊び心は欠かせませんね。
この足裏が繰り返されるとこうなります。(写真13)
同じ形を繰り返すと形の意味が薄れて行き、模様のように感じられるようになります。これはポップアートの世界でウォーホルが実践した手法ですが、このタイピンも繰り返しヴァージョンの方は、遠くから見るとほとんど抽象的な模様です。
これに対し手の方は繰り返すことで意味が生まれます。(写真14)
上のデザインには皆さんはどんな意味を感じますか?私は明るい別れのサヨナラです。「永遠の別れ」ではなく、「また会おうね」のサインです。それを手から生まれる動きが見事に表しています。これに対して下はより明確な意味を持っています。いうまでもなく「ジャンケン」です。三つの手がそれぞれ「グー、パー、チョキ」を表しているのです。この二つも着けた時の効果は高く、視覚だけではなく、脳への刺激も強いようです。
今回の最後は、
生き物と言っても私たちの心の中に住んでいる生き物をモチーフとしたタイピンです。(写真15)
その生き物とは宮崎駿氏のアニメ『となりのトトロ』に出てくる「トトロ」というユニークなキャラクターです。私も宮崎アニメのファンの一人で、大学の一般教育の授業で宮崎アニメを取り上げたことがありますが、その時の学生たちの盛り上がりようがすごかったことをよく覚えています。宮崎アニメで育った人は多いのです。
上はさつきとメイが暮らす家の井戸から水を汲み上げる手押しポンプに中トトロと小トトロが乗っかっている構図です。私が子どもの頃はまだ井戸水を飲んでいましたから、このようなポンプにも見覚えがあります。下はトウモロコシと中トトロ、小トトロの組み合わせです。トトロの好物はドングリの実ですから、中トトロが食べているのがそれかもしれません。トウモロコシはさつきとメイが入院しているお母さんにネコバスに乗って届けたものです。
トトロは子どもにしか見えないと言われていますが、子ども心を失っていなければ大人でも見えると私は信じています(笑)。















