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第84回『 マイ・コレクション/ 動物根付の世界 その3 動物根付 ~ヒツジ、サル、イヌ ~』

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第84回『 マイ・コレクション/ 動物根付の世界 その3 動物根付 ~ヒツジ、サル、イヌ ~』

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新年度の始まる4月がやってきました。
今年度が私の大学人としてのラストイヤーになるかもしれないので、体調を整えてしっかりやっていこうと決意を新たにしています。
3月には新しい鑑賞授業のデータもいくつか準備しましたので、3カ月ぶりの授業再開が楽しみです。

さて3月には久しぶりの出来事がありました。
それは新しい根付をゲットしたことです。
岡山駅東口の大通り脇にある難波道具店が購入場所です。
以前は何回も訪れた店ですが、近年はシャッターが降りていることが多かったので、てっきり店じまいしたと思い込んでいました。
ところが3月4日に県展の運営委員会の後、念のため確認しに行ったら開いていたのです。主人が言うところでは午後2時から5時頃だけ店を開けているそうで、この時は2時過ぎに訪れたのでラッキーでした。

久しぶりに中国製根付を見せてもらい、気に入った3個を買いました。
どれもなかなかのもので、いずれ紹介しますが、私のコレクションがさらに充実したことは間違いありません。ブログで根付を紹介するために根付の写真を撮っていることが、再び私の根付熱に火を付けたようです。実はもうひとつ中国製ではない高価な龍の根付も見つけてしまったのですが、これはとても高価で手が出ませんでした。いつか思いがけない臨時収入があった時にでも購入を考えます。

それから3月20日の春分の日には、私たち夫婦はついに50周年を迎えました。
いわゆる金婚式です。
教員になってまだ1年しか過ぎていない1976年3月、お互い23歳の若さで結婚したため、周囲からは「この二人、大丈夫?」と心配をかけましたが、何とか二人三脚で今日に至りました。
思えば大学と大学院時代の恩師・国領先生、最初の赴任校の上司・上野先生、横浜国大附属横浜中の校長・井関先生を始め多くの良き人生の先輩たち、そして素晴らしい教え子たちに導かれて、教員と画家という「二兎追流人生」を続けることができました。
その間、自己本位で自由奔放で気まぐれな私を認めてくれた周囲の方々に、改めて感謝する次第です。ありがとうございました。

しかし金婚式はゴールではなく、二人の歩みはこれからもまだ続きます。
変わらぬご支援をいただければ幸いです。

「動物根付」の3回目はヒツジ、サル、イヌの出番です。

ヒツジは龍と並んで私にとっては関係が深い動物なので、できれば多く集めたいところですが、それほど市場に出回っているわけではありません。
最初のヒツジは自然な立ちポーズです。(写真1~4)

写真1
写真2
写真3
写真4

首を少し右に向けていますが、大きな動きはありません。頭にはりっぱな角が生えています。角が生えていると雄のような気がしますが、ヒツジの場合角の有無は雄雌には関係がありません。雌にも角が生えているものはいます。ただ雄の角の方が大きいのです。私は角の生えたヒツジはあまり描きませんが、それは個性が強く出てしまう感じがするからです。ヒツジはあくまで集団性が持ち味ですからね。

ところでこのヒツジを見て皆さんは何か気になりませんか?それはこのヒツジには立派な顎髭があることです。ヒツジに顎髭はありません。あるのはヤギです。作者はヒツジとヤギを混同しているのでしょうか。漢字で書くとヤギは「山羊」ですからね。

じつはこの後紹介するヒツジ根付にも顎髭が付いています。

そこで思い出したのが、毎年正月に参拝している最上稲荷の奥の院にあるお堂の板戸に装飾として彫られたヒツジのレリーフです。(写真5)

写真5

これを見るとやはり顎髭がついているのです。日本ではヒツジを飼う習慣があまりありませんから、やはりヤギと混同しているのかもしれません。しかし現在世界でヒツジを一番たくさん飼っている国は中国ですから、中国製根付のヒツジに顎髭が付いているのは不可解です。

ちなみに私の持っている『根付の図鑑(動物)』には「根付で羊と言えば山羊のことになります。」と書いてあります。しかし私の持っている根付のヒツジたちの体つきは羊そのものです。

二つ目は躍動的なヒツジです。(写真6~10)

写真6
写真7
写真8
写真9
写真10

頭を大きく右に振っていますが、顔や体に若さを感じます。特に少し上げた前右足の表現が見事です。よく見ると一つ目のヒツジよりも頭部が体に比べて大きいので、やはり若いヒツジなのでしょう。底から見ると首を大きく振っていることがよく分かります。

この根付をドイツ製のヒツジのフィギアと比べてみましょう。(写真11)

写真11

ドイツ製のフィギアは樹脂製でリアルな造りが特色ですが、動きはありません。それに比べ中国製の根付は、どこかマンガチックですが、躍動感があって生き生きとしています。中国製根付が動きや生命感を大事にしているところも、魅力になっているような気がします。

三つ目は箱座りしている穏やかなヒツジです。(写真12~16)

写真12
写真13
写真14
写真15
写真16

前に紹介したウシにも似たポーズのものがありましたね。言わばこのポーズは動物を丸く表現する際の定番のポーズなのです。ただこのヒツジの場合は首を後ろに回しているのには理由があります。よく見て下さい。舌を出しているでしょう。たぶん舌で自分の体をきれいにしているのでしょう。これは猫がよくやる仕草です。底から見ると、箱座りしている時の脚がどう折りたたまれているのかが良く分かります。

次はサルです。(写真17~21)

写真17
写真18
写真19
写真20
写真21

右手で下あごを触っているポーズです。サルはどことなく愛嬌がありますね。角度を変えて見ると背中の丸みの表現が絶妙なことが分かります。特に後ろからの角度では背中に哀愁が漂っていて、何とも言えない魅力が感じられます。木彫ならではの味でしょう。正面からの顔も一見の価値があります。知的な深い洞察力を感じさせ、相手を諭しているようにも見えます。

サルの二つ目は擬人化しています。「ちゃんちゃんこ」を着ています。(写真22~26)

写真22
写真23
写真24
写真25
写真26

ちゃんちゃんことは袖のない羽織のことで、主に綿入れの防寒着を差します。子どもや高齢者が着用することが多く、昔は還暦祝いに赤いちゃんちゃんこを贈る風習がありました。このサルがそれを着ているということは、高齢というだけでなく、周囲から尊敬される存在なのでしょう。そんな雰囲気がこの根付には備わっていて、貫禄は十分です。群れのリーダーとして苦情や陳情を聞いて熟慮しているというところでしょうか。どっしりとした座りポーズや背中の丸みにこのサルのキャラクターがよく表れています。

最後はイヌです。(写真27~31)です。

写真27
写真28
写真29
写真30
写真31

私が持っているイヌの根付はこのひとつだけです。市場でもあまり出会ったことがありません。私が持っているイヌはかなり写実的な造りです。丸く造形していないので、根付というよりは彫刻作品の風格が漂っています。賢そうな顔つきをしています。お座りして飼い主に何かアピールしている感じです。おそらく餌をねだっているのでしょう。口を少し開けて舌を見せています。可愛いですね。
猫も嬉しい時に舌を少し見せます。後姿には「餌欲しいオーラ」が漂っています。
前出のひとつ目のサルと一緒で、動物の背中の表現は彫師の腕の見せ所だと思います。

今回はここまでです。次回はトリ、イノシシ、コイを紹介します。お楽しみに!

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