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旅行者

4.旅行者

S80号(145.5×145.5cm)1984年

20代の頃は公募団体展には批判的な立場を貫いていたが、色々と行き詰まりを感じて一陽会に出品し始めたのが30歳の時。運よく初出品で特待賞受賞という好スタートを切ったものの二年目は忙しくて新作が出来ず、旧作でしのぐという体たらく。三年目に一から出直しの気持ちで描いたこの作がまさか最高賞の一陽賞を受賞することになるとは、正直思っていなかった。電球頭の人物を帰ってきた旅行者に見立て、変わり果てた光景に対峙させることでビジュアル・ショッキング的効果をねらった。電球頭人間はデ・キリコの絵に登場するマヌカンの変奏で、頭の形から見ても私自身である。噴煙というモチーフは、螺旋に立ち昇る姿が巨大なエネルギーを感じさせるところが好きでよく描くが、後には巨大カボチャに変容した節がある。同時期に描いた《警告》や翌年の《光芒》のような表現をその後展開したため、この作がより特異な印象を与える。

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