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「長閑な日」

Gallery 暦 -皐月- 2015

長閑な日
《長閑な日》

 

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この絵は現実の場面ではありません。

白壁の前にズラッと並んだドラム缶の上に
かつて私が神奈川県にいた頃
同時に飼っていた4匹の猫を配したもので
青空には風でたなびく雲と気球が描かれています。

おそらく5月の天気の良い日をイメージして描いたのだと思います。
題名も絵にふさわしく《長閑な日》としました。
半野良をさせていた4匹の猫たちに
永続する平和な時間を過ごしてもらいたかったのです。

というのもこの4匹のうち
草むらを悠然と行くジロー以外は、岡山に連れてきたものの
1年から2年の間に次々と白血病ウィルスに感染して
この世を去ってしまったからです。

3匹の闘病記は三者三様でしたが
どれも感動的で、私たち夫婦の心に今も深く刻まれています。
ただし3匹が感染してしまったのは
あくまで私たちの無知と油断が原因ですから
彼らにはすまないことをしたと今でも後悔しています。
神奈川県にいた頃は、半野良をさせていても伝染病にかかることはなかったので
総社に越してからもつい安心してしまっていたのです。

最初に発病したのは壁の上で空を見上げているゴンで
よく太った愛らしい猫でした。
私のアトリエで念入りに身づくろいをしていたものです。
その貫禄から漢字では「権(ごん)」という字を当てていました。

次がドラム缶の上で箱座りしているタローで
これはジローと姉弟でした。
とてもやさしい猫で
ゴンの育ての親です。
背中に乗せたまま私が腕立て伏せをしても
そのままでいるような猫でした。

最後がドラム缶の上で伸びをしているジェフで
動物病院で調べたら外国産の猫だったことが判明し、この名前になりました。
ジェフは、私が単身赴任の時奥さんに拾われたので
奥さんにとてもなついていました。
ジェフの育ての親はゴンです。

そんな関係でタローとゴン、ゴンとジェフはとても仲良しでした。

3匹をつないでいたゴンが亡くなった後
残されたタローとジェフは微妙な関係でした。

ジローを岡山に連れてこなかったのは
他の3匹との仲が良くなかったからです。
ジローは気が強く、頭のいい猫でしたから
自分だけを可愛がってほしかったのかもしれません。
幸いジローを引き取ってくれる親友がいたので
安心して託すことができました。
ジローと家の近くの遊歩道や畑のあぜ道を散歩した想い出は
今でも私の宝です。
散歩のコースはいつも決まっていて
ジローが先導していました。
その後もジローは長生きし
私たち夫婦が久しぶりに訪ねていっても
ちゃんと覚えていて
家人が寝静まった後、こっそり私たちの部屋を訪ねてくるような猫でした。

ドラム缶はかつて私が盛んに描いたモチーフです。
デコボコして錆びついた表面の質感に惹かれていました。

その後ろの白壁ですが、
完全にその先の風景をさえぎっています。

皆さんはそこにどんな風景を想像されるのでしょうか。

絵とは描かれていない部分の方が気になったりするものです・・・。

泉谷 淑夫

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